昨年の7月11日、我が家の飼い猫PONが脱走してしまいました。



19日間探し続け、無事に見つかったからよかったものの、この間私たち夫婦は地獄のような苦しみを味わいました。



猫を飼っておられる方には同じような思いを味わってほしくないために、そして不幸にも現在、飼い猫が行方不明の方には希望を持ってもらいたいために少しでも参考になればと私たちがたどった19日間の体験を、ここに記しておきたいと思います。





2008年7月11日(金) 【1日目(失踪した日)】



私が会社から帰宅するとベランダの窓が開いていて、飼い猫4匹のうちの1匹、PON(黒猫オス1才去勢済み)がいなくなっていた。



オットの帰宅を待ってから、マンションの同じ階(3F)の住民に聞き込みをして、ベランダを見てもらう。すると2軒隣の方から



昼間に自宅のベランダの手すりを2匹の猫(茶色と黒)が歩いているのを見た」との情報が。しかしその後、同じ方がマンションの外から見える私たちの出窓にPONがいるのを確認。ということは、一度はベランダから室内に戻ったということだ。そして何度目かのベランダ出で、いなくなってしまったということだろう。



でも実はこの時の私たちはまだ、かなり楽観視していたのだ。



まあ同じ階かひとつ下の階のベランダに隠れているんじゃないかと。まさか地上に下りてしまっていたなんてあまり考えていなかった。(1Fが店舗のため4〜5Fくらいの高さがあるというのもあり)



それがなんと甘い考えだったことか・・・。



【やったこと】



  • マンションの同じ階への聞き込み


2008年7月12日(土) 【2日目】



やはり心配で2人ともあまり眠れなかった。



早朝からさっそく近所を捜索。しかし見つからず。ネットで情報を得ながらチラシ、ポスターを作成、またネット上の迷子猫掲示板にも2つ登録して情報を募る。



ちょうど梅雨明け間近とあって気温34度のなか、午前、午後と探すが見つからない。さすがにちょっと焦ってきたが、それでもマンションのどこかのベランダにいる可能性が高いとこの時点ではまだ思っていた。



【やったこと】




  • 近所の探索(早朝、午前、午後)


  • チラシ配り(マンション2F、3F)


  • ポスター貼り(近所)


【最初に作ったポスター】
Pon11_3








※慌てて作ったものだが、あらためて見ると欠点だらけのポスター。



2008年7月13日(日) 【3日目】



マンションにチラシを投函したものの全く連絡がない。



やっぱりマンション内にはいないのかも・・・と、ようやく3日目にしておもい、探索に本腰が入り始めた。



猛暑のためと(連日34度)PONの行動時間帯のことを考え(夜〜夜間が活発)、日中の探索は控え、夜中心に探したが、見つからず。



PONは異常なほど臆病な性格な上、体毛が黒いので、見つけることはかなり困難であることは容易に想像され、早くも気持ちが暗くなった。



【やったこと】




  • チラシ配り(マンション全戸)


  • ポスター貼り


  • 探索(7:00/21:00/ 23:00)


2008年7月14日(月) 【4日目】



幸いなことに3連休だったのでほぼ1日チラシ配りを中心に行う。
チラシもポストへの投函よりも直接手渡しの方が断然効果的、とネットや本などの情報にあったので、犬の散歩をしている人などにはなるべく手渡しを心がけた。
やはり手渡しは効果絶大で、近所に住む猫おばさん情報やノラ猫情報などを入手できた。



猫おばさんによると、去勢済で完全室内飼いの場合、家のすぐ近く(半径30M以内)にいる可能性がかなり高いとのことだったので、家を中心にしたその辺りを巡回することにした。



しかし巡回してみて気づいたのだが、世の中、猫の隠れる場所は無限に存在するのだった。特に民家の軒下などはものすごく隠れてそうな雰囲気アリアリなのだが、確認したくても出来ないのが歯がゆかった。
「これではなかなか見つからないよね」と
夫婦2人、さらに絶望的な気持ちになった。



【やったこと】





  • チラシ配り(近所)


  • 探索(22:00〜23:00)

2008年7月15日(火) 【5日目】



この日から2人とも会社があるので、今日の探索は夜中の1回に絞る。
これまでに目撃情報は1件もない。



でも、PONは人を極端に怖がるし、隠れ上手(家の中でも隠れているとなかなか見つからない)、滅多に鳴かない、そのうえ黒い!と見つけずらい要素のオンパレードだったので、情報がないのもしょうがないよなと頭では思いつつも、心ではがっかり。



今日で脱走してから5日。
34度の猛暑が続く中、連日の探索で、私たちの体力、精神力も参ってきた。
この探し方で本当に見つかるのだろうか?という不安が頭から離れず、早くも2人で探す限界を感じ、ペット探偵をお願いしようと検討。



ネットで調べていくつか検討した中から一つを選んで連絡したら、さっそく明日、打ち合わせに来てくれることになった。



【やったこと】





  • チラシ配り(近所)


  • 探索(AM0:00〜2:00)


  • ペット探偵を調べ、連絡

2008年7月16日(水) 【6日目】




この日は私は仕事が休みの日だったので、あわせてオットも有休を取り、午前中にペット探偵さんと打ち合わせ。
ちなみに今回お願いした探偵はペットアイさん。ネットに書かれていた所長さんの迷子猫に関する記事に共感できる点が多かったので、お願いしてみることにした。3日間で 5時間/7万8千円と、決して安くはないが、少しでも見つかる可能性が上がるなら、とこの時は必死な気持ちだったので、金額はあまり気にならなかった。



そしてこの日、初めて夜、携帯に連絡が入った。



慌てて出ると、近所の猫おばさんが、



「見つかったかどうか心配してかけてみたの」という内容だった。



てっきり目撃情報かと思ったのでちょっとガッカリしたが、こうやって心配して電話までかけてきてくれることに感謝の気持ちで胸が暖まるのだった。


【やったこと】





  • 探索(21:00〜22:30)


  • ペット探偵と打ち合わせ

2008年7月17日(木) 【7日目】



仕事の合間のお昼時、猫おばさんから連絡あり。
マンション内でいなくなった猫は同じマンションで見つかるケースがほとんどなので、下の階だけじゃなく上の階も確認してみたほうがいい」と助言をいただく。それを聞いたら急に「やっぱりマンション内に潜んでいるのでは?」という気持ちが急浮上。



正直、今まで下の階のベランダにいる可能性はあっても上の階はないだろうと私たちは考えていた。しかし猫おばさんによると、上の階のベランダに隠れていて、発見が遅れて脱水症状で亡くなってしまったというケースもあると聞き、急に恐ろしくなり、一刻も早く家に帰ってマンションの住民全員に確認をとらなければと焦り、仕事に集中できなかった。



仕事を終えた足で急いで家に戻り、1部屋ずつ連絡をとり、直接ベランダを確認してもらえるようにお願いした。なかには何度訪れても居留守を決め込む部屋もあったが、それは仕方のないことと、手書きの手紙をポストに投函することで対応した。



確認してもらったが、結局どこのベランダにもいないらしかった。
少しホッとした。これで、どこかのベランダで逃げられずにひからびているという想像から逃れられたので。ようやくマンション内ではなく、やはり外に逃げてしまったのだと気持ちを固めることができた。



この夜は、直接チラシを手渡しした近所の親切な方が一緒に探してくれた。
でも今日も見つからなかった・・・。



いなくなって1週間、私たちの気分はかなりどん底状態だった。



【やったこと】





  • 探索(22:00〜23:10/AM4:00〜5:00)


  • 聞き込み:ベランダを確認してもらう(マンション全戸)

2008年7月18日(金) 【8日目】



かなり体力的に疲れが出はじめてきた頃。
不規則な睡眠時間のせいか、仕事中も痺れるような眠さに襲われる。
現在まで一度も雨が降っていない・・・。しかも連日30度超えの猛暑。
仕事中も常にPONのことが頭から離れない。
調べると、猫は極限状態では1週間から10日くらいは飲まず食わずでも平気、とあった。(探偵さんも言っていた)しかし、いくら飲まず食わずでも、こんなに暑いなかで果たして無事でいるんだろうか・・・とまた後ろ向きの想像が膨らむのを止められない。



【やったこと】






  • 保健所、土木課、清掃課に連絡(以降、週2〜3日ごと)


  • 動物愛護センターの収容猫情報チェック(以降毎日)

2008年7月19日(金) 【9日目】




アイペット探偵、1回目の探索日。
ビラ、チラシ(探偵が作成した)や聞き込みをメインに夕方から捜査開始。
私たちは早朝に探したが、見つからず。
毎日毎日同じルートを何度も探しているので、いい加減気持ちが滅入ってきた。探しながら、「どうせいないだろう」って気持ちになる。
体力的、精神的な疲れから、夕方の探索は探偵さんにおまかせして、私たちは体力・気力の回復を図るために休むことにした。



すると突然、私の携帯がなり、初めての目撃情報が!



近所の車の下に見慣れない黒猫がいるとのこと!
急いでその場所に向かう。現場はマンションから50Mほど離れた一軒家。ありがたいことに電話してきた方が逃げないように見張っていてくれていた。



探偵さんにもすぐに連絡したので、すでに駆けつけていた。屈んでみると、たしかに車の下に黒猫がいるのが見えた。でも悲しいかなPONかどうかよくわからない。
名前を呼んでも無反応、エサを車の下に放り投げると、食べた。
もう少し近くに来てもらいたくて、だんだんエサを近くに投げると、突然逃げ出した!私が一番近くにいたが、たぶん違う猫のような感じだった。



「たぶん」、というのは私にも確信が持てなかったから。
イマまで何度か黒のノラを見かけていたのだが、それでわかったことは、飼い主の私たちでさえ黒猫という種は見分けがつきにくいということだ。首輪はしていたけど、セイフティータイプだったので、とれていればただの真っ黒い猫だ。特に夜ともなると完全にお手上げ。ぜんぶがPONに見えるような見えないような。違うかどうかはなんとなくしかわからない。
逃がした魚は大きかった、という例えは間違ってるけど、黒猫は迷子猫としては最も探しにくい種類だということだけは断言してもいい



探偵さんの1回目の探索もむなしく、今日は見つからなかった。猫の場合、連続して3日間の探索は効率的ではないとのことなので、以降2回は相談して随時決めて行くことになった。



【やったこと】







  • アイペット探索1日目(16:00〜21:00)


  • 探索(AM4:00〜5:30)

2008年7月20日(土) 【10日目】



今まで手をつけていなかった、大きな道路を挟んだ向かい側エリアへチラシ配布とポスター貼りを行う。
交通量の多い道路なので、まず渡っていないだろう、という意見が多かったのだが(探偵さんや猫おばさん、猫に詳しい住民等)、去勢済みのオスが移動する範囲内だったので、念のためという気持ちで行った。実際ネットで調べてみると道路を渡っていたケースもけっこうあったし。



夜、目撃情報が2件入る。
1件は今日行った反対側エリア。目撃者は子どもで、数日前に近所の車の下に似た黒猫を見たとのこと。実際電話をいただいたのはそのお母さんだった。数日前の情報だったので、すぐに確認しに行くのはやめて記録だけしておいた。もう1件は先日一緒に探すのを手伝ってくれた方で、たった今、自分のマンションの駐車場で似た黒猫を見たとの情報だった。近々の情報だったので急いで駆けつけたのだが、到着した時にはもういなかった。しばらく付近を探してみたが、結局この日は黒猫を見ることはなかった。



【やったこと】







  • チラシ配り


  • ポスター貼り(15:00〜17:30)

2008年7月21日(日) 【11日目】




自分たちがチラシを配ったりポスターを貼ったりしたエリアをあらためて見直す。
もれている箇所、まだ手をつけていないエリアを確認する。
その結果、半径200Mまで範囲を広げることにした。
「誤報が多くなり、それに翻弄されてしまうのであまり得策ではない」と探偵さんは反対だったが、情報も少なくて毎日探しても見つからないこの状態でいてもたってもいられず、決行することにした。



ここ数日、毎日のようにネットの迷子猫が見つかった掲示板を見ている。
最初は数日で見つかるケースを読んでいたのが、だんだん迷子期間が長いケースを読んでいる自分に気づき、激しい悲しみが襲って来た。だいじょうぶ、ウチの場合もきっと見つかる、こうして見つかってる人たちもたくさんいるんだから、と自分を慰める。



【やったこと】








  • チラシ配り、ポスター貼り(範囲を200Mに拡大)


  • 探索(AM4:00〜5:30/20:00〜21:00)


  • 2つめの探偵さんにメールで打診

2008年7月22日(月) 【12日目】



本日も猛暑。アイペット探偵さん2日目の探索。



18時すぎに会社から帰宅後、目撃情報が2件入る。



いずれもついさっきという話だったので急いで両方の現場に駆けつける。しかしいずれも違う黒猫だった。1つは首輪をしているという情報だったので実はかなり期待していたのだが、実際見ると鈴がついていて(PONは鈴はない首輪)ガックリ。せっかくなので周囲を探しながら家に戻ることにした。



本日も探偵さんの探索は何の収穫もないまま終了。



【やったこと】









  • アイペット探索2日目(17:30〜22:30)


  • 探索(18:30〜19:00)

2008年7月23日(水) 【13日目】



PONがいなくなってからあと1日で2週間。
迷子猫の書き込みなどを見ると、このくらいの時期に見つかるケースが多く、PONもそろそろ見つかってくれるのではないかと淡い期待を抱く。



今日は仕事が休みの日。朝早く、目撃情報が1件。
数日前に道路の反対エリアにある橋付近で似た猫を見たというおじさんからだった。夕方確認に行くと、確かに黒猫がいた。あまり近づけなかったが、のびのびとあくびをしながら歩く姿を見ると、PONとは違う気がした。
またこの日、清掃の土木課に連絡を入れると、探しているエリアをちょっとはずれた場所で、黒猫の遺体を収容したとのこと。腐敗が酷く、性別は不明だが首輪はしてないという。どうかPONではありませんように・・・。



【やったこと】







  • 探索(17:30〜18:30/19:00〜20:30)

2008年7月24日(木) 【14日目】



今日で遂にいなくなってから2週間。
オットも私も疲れがピークに達してきた。
これだけ毎日探しているのに見つからないと精神的に本当につらい。夫婦の会話もはずまない。



PONが脱走してから現在まで、まだ雨は一度も降っていない。
もうこのまま見つからないんじゃないか・・・、というより、生きていないんじゃないか・・・という気持ちが心の半分を占めてきた。それでも探すのをあきらめる気持ちにはとてもなれない。こんな毎日がいったいいつまでつづくのだろうと、絶望的な気持ちになる。



【やったこと】







  • 探索(22:00〜23:10)

2008年7月25日(金) 【15日目】


目撃情報もなく、身体も痺れるように疲れていたので、明日は土曜日ということもあり、早朝の探索のために2人とも早めに休む。



【やったこと】








  • 翌日の早朝探索のために何もせず充電

2008年7月26日(土) 【16日目】




ゴミの日なので、いつもの巡回ルートにゴミ集積所も含めて探す。黒ノラは見るけどPONらしき猫はいない。もう家の周りにはいないんじゃないかという気持ちが大きくなってきた。どこか遠くへ歩いて行くPONの姿を想像してしまう。



そんななか、エリア内で目撃情報が2件入る。



どちらも毛がボロボロで細長い身体、しっぽの長い猫だったという。修正したチラシ(特徴がわかるように作り直した)を見ての情報なので、かなり似ているのかもしれない。しかし、どちらも私たちが駆けつけた時にはいなくなっていて見ることができなかった。



しかし親切なおじさんが、なんとその様子をデジカメに撮ってくれていた!なのでこの目で確認することができた。確かに毛がボロボロ。しかも首輪のあとがあり、その部分の毛が抜け落ちてバサバサしている・・・。首輪はもうないと推測していたので、かなりこの映像が気になった。しかもこの暑さなら皮膚がかぶれている可能性もあり、なんとしてもこの猫を実際にこの目で確認してみなくてはと思った。



アイペット探偵さんの探索は今日で終了。
最後は終電ギリギリの時間に設定して遅くまで探してくれた。
22時半頃、黒猫を発見、確認してほしいと待機中の私たちに連絡が入り、現場にかけつけた。しかし民家の塀のかなり遠くのほうにいるのでよくわからない。1時間かけてエサやまたたびでおびき寄せをはかったが、結局近くで見ることはできなかった。でも動いた瞬間を見たが、2人ともPONとは動きがちょっと違う気がするという意見で一致。
こうして黒猫を見てもPONとはっきり断定も否定もできないのが、本当にもどかしくてしょうがない。



【やったこと】








  • アイペット探索捜索3日目(18:30〜23:40)


  • 探索(AM4:00〜5:30/22:30〜23:30)


【修正して作り直したポスター】


Pon21_2








※ポスターの周囲を赤い枠で囲むのは、猫探偵の塩谷氏から伝授していただいた。こうするとかなり人の目を惹くようになるとのこと。写真はその猫の特徴がわかるものを2枚。PONはこれといった特徴がなかったので苦労したが、細長いしっぽとスリムな体形を訴えるようなものにした。



【同じようにして作り直したチラシ】



Pon31








※A4を4アップにしてカットするとポスティングにちょうどいいサイズになった。



2008年7月27日(日) 【17日目】



アイペット探偵さんとの契約も終わってしまい、2人ともガックリきてしまった。
もう私たちだけでは見つける自信がすっかりなくなってしまい、ネットで評判だった猫専門の探偵さん塩谷氏にメールで打診。
すぐに連絡があり、現在は他の猫探しで受けられないが、たまたま地理的に近いので夜に話だけでも聞いてくれると、なんと今日の今日21時にマンション前にて塩谷氏と面会することになった!



かなり個性的な方でやや驚いたが、猫探しに対するハンパじゃない情熱に心打たれる。他の猫探し中にもかかわらず、わざわざ寄ってもらい1時間以上も猫探しのアドバイスをしていただく。しかもそのどれもが彼の経験に基づく説得力のあるものばかりでたいへん勇気づけられた。そして何よりも
ぜったいに、生きてますよ
と言い切ってくれたことが、涙が出るほど嬉しかった。



それとは別に、昨日猫を目撃したと連絡をくれた方を訪問し、特徴や場所などを詳しく聞いた。その方はチラシを手渡しした方で、ご自身も猫を飼われているとのことで、とても心配してくださった。今後も注意して周囲を見てくださるとのこと。本当にありがたいことだ。
※後にこの方とはとても親しくなり、お互いの家を行き来するまでになった。



【やったこと】








  • 探索(20:30〜21:00)


  • 塩谷氏と面会(19:30〜20:30)

2008年7月28日(月) 【18日目】




昨日の塩谷氏の言葉に勇気づけられて、「そうだ、PONは生きているんだ!がんばって探さなきゃ!」とここ最近なにないほどの前向きな気分で探索。
結局この日も見つからなかったけど、この日は今までのように落ち込んだりはしなかった。



【やったこと】









  • 探索(22:30〜0:00)

2008年7月29日(火) 【19日目(見つかった日)】





昨日の無理がたたったのか、私がダウン。
身体も今までで一番だるく、仕事も無理そうだったので会社を休む。
昨日気持ちが高ぶって無理しすぎたのかもしれない。


探すのは身体が資本なのにと反省、一日横になっている。
夕方から、範囲を広げた200Mエリアにポスターを貼りつつ、よく黒猫が目撃されながらも私たちが未確認の場所を中心に探索。



仕事を終えたオットも合流し、一緒に探していると、突然私の携帯がなった。
マンションの住民Aさんからで、
「たった今、マンションの駐車場に黒猫がいますよ!急いで!」とのこと!



マンションから200Mほど離れた場所から大急ぎで駆けつけると、駐車場にAさんがいて、ついさっき建物の隙間のほうへ逃げていってしまったとのこと。すぐに逃げた周辺を探したが見つからなかった。



Aさんは最初からとても協力的な方で、毎日犬の散歩がてらにPONを探してくれていた。そして
「あれはたぶんPONちゃんよ、戻って来たのよきっと」と言ってくれた。



これまでにも何度か黒猫情報をもらっては違う猫で落胆ばかりしていたが、マンション内の駐車場では一度も黒猫を見かけたことがなかったので、私もこれはちょっと可能性が高いかもと感じた。とにかくこの目で見ないことにははじまらない、ということで、
駐車場で目撃されてからまだ少ししか経っていないし、また出て来るかもしれないねと、駐車場の数カ所にエサを置いて、幸いにも自分の部屋の出窓から駐車場が見えるので、部屋に戻って見張っていた。すると・・・



それから20分後に、さっき逃げていったと思われる方角から黒猫が出現!
置いたエサを食べ始めた。それを見つけたのがオットで、たまたま出窓から離れていた私を大声で呼んだら、なんと声が猫に届いたらしく、猛ダッシュで逃げてしまった。しかしその逃げ方を見ていたのだが、PONにソックリだったのだ。



正直今まで見た黒猫の中で一番似ていると思った・・・。
でもかなり遠目だったし、また違ったら落胆も激しいので過剰な期待はしないように努めたのだが、それでも沸き上がる興奮を抑えることはできなかった。



オットと相談して、とりあえず何度かエサをしかけて、できる限り近づいてみようということで、ごく少量のエサを窓からチェックできる場所に置いて、見張ることにした。
運悪くすぐに天候が怪しくなり、夏特有の短い雷雨になってしまったので、この間は見張りを中断して短い夕食とお風呂を済ませた。
雨がやんだ22時すぎに、再びエサをしかけて見張りを開始。



すると、20分ほどして黒猫が出現!またエサを食べ始めた。



そこで私が駐車場に行くと、ささっと一番近くの車の下に隠れたので屈んでじっと観察した。
確かに黒猫。でもここでも悲しいかな、PONかどうか確信が持てない。呼びかけにはまったく応えず、でも目はしっかり合っている。何度呼びかけても微動だにしないので、そうだ、缶詰を持って来ていたんだ、と袋から出して「ホラ」と缶を見せて呼びかけようとしたら、もういなくなっていた・・・
でも、この短い間に人の目を盗むかのようにパっといなくなる感じがますますPONっぽいな、と確信が強まってきた。



と、このようなことを2〜3度繰り返し、



「もう今日はあきらめよう、あの猫がPONだとしたら、私たちの手で捕まえられるわけがないから、いずれにしても明日どこかで捕獲機を借りて仕掛けてみよう」ということになった。
眼下には車の下にうずくまっている黒猫がいるが、とりあえずオットがエサを回収しに駐車場へ行った。



結果から言うと、この時PONを捕まえることができたのだ。



この時は最初から捕まえる気はなく、ただエサを片付けに行っただけだったので、普段持ち歩いている捕獲用の洗濯ネットは持っていず、素手で捕まえるはめになったオットの両腕は、捕獲した時は血だらけだった。



オットの話によると、車の下にいた黒猫に試しに片付けようとしていたエサを差し出してみると、ちょっと近づいて食べに来たらしい。それをじっと側で見ていたオットはこの猫はPONだと確信、あとはだんだんエサの皿を近づけて、名前を粘り強く呼ぶこと数十分、ある時にむこうが鳴き返してきた。PONの声はとても特徴があるので(ヤギにそっくりでメェと鳴く)これでさらに確信を強めたオットは、エサを自分のすぐ側まで近づけて、食べ終えて立ち去ろうとした瞬間を両腕でガッと捕らえたとのこと。



ずっと部屋の出窓から見ていた私は、オットが車と車の間に入って何をしているのかがよく見えなくて、ただぼんやり眺めているだけだったのだが、突然黒い物体を両腕で私の方に掲げたので、「捕まえたんだ!!」というのがわかり、急いでマンションの1Fまでゲージを持ってかけつけた。



マンションはオートロック式なので、エントランスに入ってしまえば袋小路、ゲージを開けると猫の方から飛び込んできた。



時間は深夜2時過ぎだった。



その後は興奮してとても眠るどころではなく、オットと朝まで起きていた。私は目の前で怯えて隠れている猫が本当にPONなのかまだ確信が持てずに、どぎまぎしていた。



それでも少しして、私の側に来て身体をスリスリさせてきた時には、「ああやっと戻って来てくれたんだ」という喜びが身体の底からじわじわわきあがってきた嬉しさに身体が震えた。



オットとともに、今までの辛い道のりを語り明かし、夜が明けた。



実はこの後が大変だった。
もちろんその日の朝にすぐに動物病院の検査を受け、異常ナシと診断されたので、一安心。虫もいないようだが一応レボリューションを塗布。エサもモリモリ食べ元気!さすがPON!なのだったが、その夜一気に体調急変、数分おきに激しい嘔吐と下痢を繰り返し、苦しそうに鳴いている。せっかく見つかったのに、このまま死んじゃうかも!と朝になるまで一睡もできなかった。なんとか朝になってくれて、急いで病院へ連れて行った。
結局原因はわからなかったけど、ウイルス性らしい。やはりこの酷暑のなか、ほとんど飲まず食わずで相当身体が消耗していたのだろう。即入院となった。
その間はずっと点滴。酷い下痢は続いたが嘔吐は治まった。5日目頃に下痢はまだ続いていたが退院。そしてショックなことに、PONと全く同じ症状がグリにも現れてしまった。これは共倒れかと絶望的な気分になったが、一番体力のある猫だったせいか、自力で治ってしまった。


・・・ということで、現在は今までどおりの4匹の生活を送っております。
しかし、本当に本当に今回のことはしんどかったです。
もとをたどれば、外出の時に冷房をつけっぱなしにするのがイヤで、窓を少し開けて(網戸になっている)出かける、なんていうバカなことをしていた私の甘さにあったのです。そして猫が逃げる、なんてことをこれっぽっちも考えたことがなかった想像力のなさ。
今回の場合、全匹逃げてしまったという最悪なケースだってあり得たんです。そう思うと身が凍る思いです。



これからは猫ズを危険な目に合わせないように、注意に注意を重ねて生活していきたいと思っています。



【見つかった報告のポスター】



Pon41




ちなみにマンションのエレベーターに見つかった報告のポスターを貼ったら、数日の間にこのようにたくさんのよかったねのコメントの書き込みをいただきました!普段はまったく付き合いがなかった方達からの暖かい言葉の数々に、あらためて感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。





おしまいに現在、迷子猫を探している飼い主さんたちに、猫探しのアドバイスを少々。私たちが今回の経験から学んだこと、感じたことを以下に記しますので参考にしてみて下さい。





・周りの人たちの力を借りる
  今回の猫探しで痛感したのは、周りの協力なしでは猫探しはほぼ不可能ということ。2つの目より4つの目、4つの目より8つの目、16の目です。特に仕事をもっていると、探す時間が限られます。一人でも多くの人に情報を知ってもらうことが大切です。



・チラシは手渡し
 ネットにもありましたが、チラシを手渡しするのとしないのとでは大違いでした。手渡しすると相手に与える印象が強いんです。結果的に親身になって探してくれるなど、情報が確実に増えます。



・がんばりすぎない
 私も一度倒れましたが、猫探しは身体が資本です。自分が倒れてしまっては意味がありません。休むことも大切です。



・完全室内飼いで去勢、避妊済の猫はやはり近くにいる
 これもどこかに書いてありましたが、今回私たちも身を以て体験しました。長い間探していると、「どこか遠くに行ってしまったのではないか」と思う時が必ず来ると思います。それでもやはり科学的に基づいたデータである行動範囲で見つかる場合が多いようです。私たちも見つかったのは結局、家からたった数メートルのマンションの駐車場だったのです。



・そして最後に、あきらめない。
これに尽きます。当たり前ですが飼い主さんがあきらめたらそこで終わりです。私も何度もくじけそうになりました。それでもほんの少しの細い糸で、あきらめない気持ちをつなぎ止めていました。



全部の飼い主さんの元に無事に猫ちゃんが戻ってきますように。
心から願っています[E:shine]